Final Fantasy 8 Another Story

轟音とともに,トラビアガーデンは浮き上がる,自由を求めて,休息を求めて.
前線で戦う,部隊の収容をもって,このガーデンは戦線を離れる.
その予定だった.


が,


物事は時にうまくいかないものであるのは,ある種,自然の理でもある.
北の大地においては,すでに日もかけ始める,


1800時
最前線の部隊が到着し始めた.
キリカの予想をはるかに,下回る遅さである,いや,予想どうりというべきか
彼らは,敵を引き離すための部隊でもある.到着の遅れは,彼らが想像以上の戦果を挙げている証拠である.
そう,生存者は,本当に少なかった.




生還率2割.




死者と,負傷者,行方不明者による大戦果である.
彼らは生き延びた.

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MD層からあがってきたリノアは,野戦病院にいた.
リノア「キリカの予想道理なんだよね,これ・・・.うん」
負傷者の数は膨大なものになっていた,そこらじゅうでうめき声が聞こえ,回復魔法の魔導のうねりが常に頭に響いてくる.
こんな場所で,GFはジャンクションできない,もし,ジャンクションしたら気が狂ってしてしまいかねない.


少女は,決意する.



生きて帰る.



そして,彼女は,あえてジャンクションを開始する,そう


一人でも多くの負傷者を救うために.

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一方,最前線にいた,ヒロとリサは戦隊長に噛み付いていた.
彼らの,思いはひとつだ.
「なぜジークを待たなかったのですか!」

MD層が起動したことで,トラビアガーデンは魔導ヴェルシールドを展開していた.それも相当な高出力で.
ゆえに,防衛力のそれは飛躍的に向上していたのも事実である.
最前線を行きぬいた彼らにとっては,トラビアガーデンの状態は危機的状況にはまだ見えず,それどころか防衛戦闘においてはガルバディア軍を,局地的とはいえ押し返していた感があるほどだ.
もうすこし,もう数分,待てなかったのか?彼らには忸怩たる思いがある.
だが,戦隊長の切り返しはそれより上手な,戦術的史観で戦場を見ぬいていた.
「君たち,自分の魔法のストック数を確認したかね?」


そう,この連戦で,魔法ストック数は底をつきかけていた.リサやヒロがかなり前線で無茶できたのも,トラビアに残る,多くの準SeeDたちから魔法を受け取っていたからだ.
トラビアガーデンがもう数分,その場にいれば,ガルバディア火力を無力化するためのプロテスを始めとする,支援魔法は底を突き,戦線を突破され,壮絶な市街戦になったに違いない.







いや,わかっていた.だが,言わなければ,あの戦局を一時的に好転させたのは彼の犠牲あってのこと.いや,彼だけではないだろう,彼をはじめとする,多くの寡兵たちがそうしたに違いない.



SeeDは戦闘のプロ



その,隠れた深層意識が彼らを,そう駆り立てたに違いない.



夜は,静かにふけてゆく,彼らは次の戦場になるであろう,グランディエリの森に終結し始めたエスタ軍と合流するため,戦場を後にした.

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神経が,過敏に反応しているのがわかる,自分の存在,意識,感覚が戻ってゆく.


それは暗い独房の中の目覚め.
(つかまった・・・のかな?)
と感じると同時に,体には刺すような痛みを探したが,それはなく,ときおり,鈍痛が頭を叩く.
体には,GFの魔導の流れが残滓の様に残っている.
が,ジャンクションは強制的にはずされているようだ,感覚が自分のものであることが,それを裏付ける.
(これは,例によってあそこか?あの収容所じゃないのか?)
「出なければ」
自然と,頭の中でGFの存在が励起され,ジャンクションが始ま・・・


っ!?


今度こそ,頭を壮絶な激痛が襲う.
膝を突き,その場に崩れ落ちる.
・・・・これはまずいな・・・.
「あなたたちは,いつもそうね・・」
嘲笑というべきか,そんな言葉が耳朶を叩く
空気の振動する先に,自分の眼球の焦点を合わせる,いや,あわせていた.
ああ.やっぱりあんたか.



ローレライだな.」



その言葉に,この彼女は相当戸惑っていた,と同時に
(何で知ってんだ?おれ?)
当惑する俺を尻目に,女は聞く.
「なぜ私の名を・・・バラムの情報部隊の存在と,その力の大きさには,敬服する,が」
(そんなん,あったか?)
そう思う
「まぁいいわ」
(まぁいいんだ.)
調子狂うなぁ
「おそらく,あなたがあの部隊の指揮官といったところかしら?あれだけの魔力の使い手を,我々は知らない」


うむ,そうであるならば,嬉しい限りだが,実際はそうではない,遊撃部隊の頭はリノアであり,彼女はMD層起動の為,戦場にはいない.
さらに,我々の最前線の部隊の指揮官は,ハィンリッヒ・ロンメル戦隊長だ.もちろん熟練正SeeD
俺のはずがない.
とまぁ,情報を組み立てると・・・なんだ.


やはり,予想を裏切らなかったなGFは.
と,そう結論付けてよいだろう.
意識をGFに譲渡することで,戦闘感覚を最適化しただけだ.



・・・が,この事実,俺が試すまで,バラムにも,ガルバディアにもその戦訓はないはずだ.
どうしたものか・・・
「答えられないというわけ?」
ふむ,ここは詭弁でもなんでもいい,相手にそう思わせることが最重要だろう.
「そうだ,私は,トラビア軍SS戦隊総司令ジーク・アーデリッヒ准将だ.」


会話は続く,しかし,持ち前の性格であるため,のらりくらり話題をそらしまくる.それはもう,うざいくらいに.
切れたのは,向こうだ.我慢がちだな.


蹴りが入れられる,っ・・・いや,ここは,あの言葉が聴けるまで・・・



「・・・・拷問をかけよ」



よし・・・,そこで意識は暗転した.

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トラビアガーデンは丸々9日かけて,グランディエリ集結点に到達した.
急げば,もう少し早くついただろうが,せっかく敵の目を巻いたのだ.


迂回の追及をすべきであろう.


と結論付け,戦闘食料と,魔法のストックをかけつつ,エスタ軍と合流.その中に・・・.



「セルフィ!」


と,リノア,キリカに同時に抱き付かれ・・・・あーあー押し倒された.










(著者)
いやぁ,疲れました.春祭終わったし復活ですわ♪
がんがろー