僕らのチームは先の戦の鍵である、からめ手を成し遂げたため、いったんトラビアガーデ
ンに戻っていた。
ガーデン内は戦準備のためどこへ行こうとも喧騒があふれていた。
ふと、何かが僕の耳に留まった、…ピアノを弾く音である
これは知っている曲だ、たしか
Eyes On Me
心地よく大気を静かに弾くその音色は、まるで忘れ去られたエデンを連想させる
リサ「この曲、…こんなにいい曲だったなんて…」
いつのまにか後ろにきていたリサがそう嘯く
そう思うでしょ?と促され、頷き返す
僕はこの美しい音色に体を預けてしまいたかったのかもしれない
リサ「ねぇ?弾いてる子見に行かない?」
そう誘う彼女はいくぶん、いやかなり美しく感じていた、曲が僕の感性を惑わせたのかも
しれない
音楽室に向かってみる、もうすでに何人かの子供が集まっているようだった
音楽室の戸に手を掛ける、開いた先にはあのリノア・ハーティリーがピアノを弾いていた
心奪われるとはまさにこのことだろう、吸い込まれるように彼女を見つめていた。
その時、
リサ「ねぇ、さっきの子供たち、寝ちゃってる。可愛いね〜」
驚いた、見入ってしまった自分に気が付かなかったのだ
リサが言うほうへ目を向けると、なるほど幸せそうな顔をして眠っている。そして
ふと、笑みが零れた
今、何かを取り戻したのだろうか、沸き上がる安心感というかなんと言うか、複雑な感情に心揺さ振られていた。
屈んで、床に横たわる少年の頭を撫でる、撫でた手からは愛しさが込み上がってきた
リノア「おかえりなさい」
弾きおわり、微笑を浮かべながら彼女が小声で言ったその一言は、僕の闇をいとも簡単に
消し去ってくれたようだった
リサ「あ!今笑った!今笑ったよね?よかったぁ」
リサが嬉しそうに僕の顔を覗き込んだ
ヒロ「お、ここにいたのかぁ……って!」
…おや、リノアさんがいたからであろうか、狼狽えている彼がすごく滑稽に写った
…こうして、この日、喧騒と狂気の支配する外側を尻目に、僕らは、一時の平和を謳歌す
ることができた
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一方、ガルバディア軍内では、先のすさまじいガーデン側の戦闘による予想をはるかに上
回る被害を受けたため、行軍が止まっていた
ローレライ「…これほどの被害を被るなんてね…」
彼女の目の前にあるのは、物の見事に真っ二つにされた多足歩行戦車があった
とても330名が引き起こした仕業とは思えない凄まじい状況がそこにあるのだ
ローレライはガルバディアから派遣されたSeeDの一人である
無論、戦闘のエキスパート、プロフェッショナルである彼女等は奮戦した
しかし、混乱に陥ったこの大軍を統括仕切ることはできなかったのである
それでも最大のネックであった戦略物資にSeeDを重点的にあてたおかげで突撃してきた敵
正SeeD部隊(この時の戦闘でシュウは重体)を撃滅できた
ローレライ「…これからよ」
ガルバディア軍は不気味な静けさに包まれていた
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この二日後、ついにガルバディア軍は再動しはじめる
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「ガルバディアが動いたぞ!」この第一報は午前一時にトラビアガーデンに届けられた
キリカ「また貴方達に出てもらうしかないわ…ごめんなさいね」
そういい申し訳なさそうに頭を下げる
確かに、あの一連の戦闘でSeeD候補生は30名のうち18名を戦死させている、半壊滅してい
たのである
所詮、GFと魔法を相当うまく使いこなさない限り、我々は兵器の前に無力なのである
現に、最精鋭であるにもかかわらずシュウ教官は重体に追い込まれた
戦場はそれほどまでに過酷な世界なのである
キリカ「今回から、貴方達の陣頭指揮はリノア・ハーティリーさんに一任するわ、よろし
くね」
リノアは深く頷いた