Final Fantasy 8 Another Story

俺は、自分の愛刀を眺める。
業物、とまではいかないが、良く鍛えられた極東伝来の細刀だ。
名を、「雪風」という。
かつて、この名を冠された一隻の舟は数々の戦場を戦い抜き、その国が、矢尽き、刀折れてしまう状況下になってもただただひたすら生き残り、戦が終わったその国の多くの将兵の帰国、復員に寄与。そして最後は敵国に沈められた、ことからこの名がつけられたという。
この刀には、その名の幸運にあやかって欲しい、という想いからだそうだ。ありがたいことである。

手入れは、済んでいる。いつでも、その刀を振るうならばその対象を真っ二つに切り裂いてくれよう。


・・・と静かに意気込んでみる。
まだ、敵も見えていないにもかかわらず、この緊張感。
空気全体が、ぎちぎちと音を立てているような感覚。張り詰めた状態というのはこのようなことを言うのだろう。

リサも自分の武器(トンファー)の点検をしているが、いつもの彼女らしくない。


船酔いだからかもしれないが・・・。



1800時
日が暮れかけて、我々の集中力も緩慢なものになる。車を運転するものなら一番気をつけるべき時間帯だ。
光は、人の認識を手伝うものと同時に、惑わす原因になりうることを象徴するような時間帯である。