電撃の奴のシュツエ―ション

中学の時とは違う…
何一つ光のない世界から僕はついに抜け出た
進学
新しい世界が始まる
高校は始まった
しかし入ったからといって何かが劇的に変わるはずもない、がその変化は始まりつつあったことに僕は気がつかなかった
僕が変えたかった第一の問題
それは友達を作ること
この問題はいともたやすく解決した
水前寺
彼は僕にすぐに興味を持ったらしく気さくに声をかけてきた
一度は何かの陰謀かと思った、が、彼にそんなそぶりは見られない
たちまち僕らは息があう友になれた
しかし僕とは好対象に彼はカッコイイ、頭も切れれば、話術もたいしたものだ、故に女子の中でもかなりの人気を誇る
そんな彼が何故?
ある日、化学の授業の後、僕は教室への長い廊下を歩きながら聞いた
彼は簡単に答えた「んー一番当てになる奴だからかな?」
ありえない、いったい何が当てになると言うのか
しかし皮肉にもこの言葉は数カ月後しっかりと分かる事になる
家に帰り、夕飯の支度を始める、僕は一人暮らしだ
TVをつける、世界の出来事が32c㎡の箱から流れてくる
その不思議な箱は今はやりつつあった不思議な感染症を特集していた
死亡率ほぼ100%だが何故か20才以下は感染しない、もちろん特効薬など存在しない
しかし発見場所はアフリカ。僕には関係ない話のはずだった、が話は上手くいく方にはなかなか進まないらしい
そのニュースが流れた2ヶ月後ついに日本に感染者が出た
日に日に感染者は増えてきた、その一ヶ月後ついに報道期間は大半が麻痺、事態は予想以上に深刻だった
外出は禁止されていたが私と水前寺、残りの生徒もすべてではないが学校に集まっていた
水前寺は会うなりにわかには信じがたい情報をくれた
「国会が崩壊した、近隣諸国もそうらしい。世界は崩壊しつつある。
次に何が起こるか分かるか?」
いや聞かれても分かるわけが無い
それ以前に動転していた、国会崩壊?なんだそりゃ
困惑の顔浮かべる私を後目に彼はその回答をいった
「無秩序が起こるんだよ…」
僕は幸か不幸かそれが何を意味するのかすぐに分かってしまった
今、同じ教室にいる奴はすべて一人に残らず敵になる可能性を秘めているのだ
その日はともかく帰った、夜遅く水前寺が訪ねてきた、これからの事を話したいらしい
まだ少し寒い季節これから起こるすべての可能性はそんなことをあっと言う間に忘れさせた
彼は言う「一番信頼できる奴だけ集めて基地を作る、今、治安は最悪になりつつある。アメリカではハリウッドが火の海になったらしい
日本もいずれそうなる、自分の身は自分で守るしかなくなってきているんだ」
ショックだった、もうそこまで…僕は動いた、今出来ることは明日の僕を確実にすることだから
化学、工業系に強いおやじの影響から僕の自転車はある改造がしてある
チタニウム型水素電池と太陽電池パネルが取り付けられている
最高速度は80km/h十時間の発電で200kmは走れるはずだ
暴走族を主体とした荒し集団に追われても逃げきれるはずだ
当然ながら僕も改造を施してある
ラジカル酸素過給機である
金属格子の隙間にラジカル酸素が蓄えられておりいざというときはチタニウム型水素電池の水素に反応させる
するとタングステン型ロケットノズルからの炎が噴射される
たった5分しかもたないが250km/hを叩き出す
これは僕の切り札だ
もちろん水前寺はそれを聞いた瞬間大笑いしやがった、しかしそこまで笑わなくても…
これにリアカーを取り付け、荷物を積みコロニーを作る20kmさきの森の中の小さなソーラー発電施設を目指した、町は暗く空には今まで見たこともない満天の空が広がっていた

PM11:26
僕と水前寺は無事にコロニーに着くことが出来た。なるほど確かに志を共にする者たちが集まっている、今日はもうこれで限界だった
僕らは眠りに落ちた、遠くで略奪の音がした…

朝、目を覚ました僕は公共水道を使い歯を磨き、顔を洗う。腕時計はAM5:49を指している
我ながら早い朝だと思う。高校に行くにはこの時間に起きていなければ間違いなく遅刻するからだ
しかし異様なほどの空の澄み切り方…世界中のほとんどの工場という工場は動きを止めてしまったからだ
これで雨でもふればもっと空は澄んでくるだろう
「秋月?」
急に名前を呼ばれて振り返るとそれはすでに大学院レベルの物理学を納めていると噂されていた川西だった
聞けばここには水前寺の働きかけで来たという。なるほど奴め選ぶべき奴をきちんと選んでいやがる。
水前寺の抜け目の無さにしばし感嘆した後、川西とこれからのことを話した、が水前寺ほど先のことはあまり考えていないらしい
確かに何を悩めばいいのか分からないほど問題は山積しているのだ。ともかくみんなの起床を待とう、それで話を切った
AM8:00次第に皆が起床してくる
下は赤ちゃんぐらいから上は大学生ぐらいか…約30人強
リーダーのような奴がいるな、歳は…考えているまに彼は口を開いた
「ようこそ、岐北ソーラー発電所へ。と言いたいとこだが…まずはこのコロニーで何をしてもらうか決める
悪いが皆には働いてもらう、周りはどうもヤクザまるけで危なっかしいからな……」
と切り出し、食料、衣服、住まい、武器…ありとあらゆる役割が決められる
皆生きるのに必死なのだ。明日をも知れない危険な状況
僕は偵察兼情報収集の役割をもらった、というのもあの改造自転車は癖がありすぎて僕以外のりこなせないらしい。リアカーも装備していたため、まず貸せられた仕事はこの自転車を作る道具を集めることと人を集めること
僕は快諾した
飛ばすこと40分、故郷が見えてくる。まだそこまで荒れていないように見えた
まず中学で唯一の友だった岩谷の家に向かった
幸い、奴はいた
「良かった!生きていたか!」
会うなり抱きついてきた、なんとも彼らしい
次に向かったのはわが家。積みきれなかったチタニウム型水素電池回収のためである、これでだいたい6〜7台は作ることが出来るだろう。岩谷はありがたいことにKトラックを持っていたためすべての備品を回収できた
その後、リヤカーに少し隙間が空いたため岩谷の彼女だった西崎の家に向かった、が。
僕は甘かった、岩谷に逢えたことが僕の思考回路を止めていたのかもしれない

西崎一家は全滅させられていた、ひどいものだ、略奪の限りを尽くしたかんがあった
「こんな事っ…て、もう少し、後もう少し早く来ていたら…」
僕は初めて岩谷の泣く姿を見た、一番の無力を感じたのはこの時だ
僕は震える肩に手を添えるかとさえてきなかった
惨殺死体を見たのも初めてだった
つい最近まであった日常はもう戻らないのだと悟ったときだった

そのほかいろんな家を回ったが…抜け殻になっているか、殺戮現場のどれかだった
コロニーに着くと朝より活気があるのが手にとるように分かった
確実に人が増えている。
「お疲れ、秋」
というのは水前寺だ
「そっちこそ」
水前寺が抱えているのは刀、長刀、槍、自動小銃オイオイM2ブローニングがある
いったいどこで手に入れたのか?
各務原まで行ってきた、エメリアン(略奪集団を表す隠語)まるけだったがなんとかな」
「…よく生きてたな」
「同行者二人は重傷、軽傷一人づつ、しかたないさ」
やはり…
都市になればなるほど治安は悪い
水前寺がたまたま無傷なのは単についていただけなのだ
僕らは様々な道具が集められているガレージに向かった、早速川西がケッタ改造を始めていた
このケッタ改造はこれからの生活を左右する物だ、念入りに整備が進む
空力を加味した改造ケッタ
なるほど僕のよりは遙かに美しい流線形を意識したデザインになっている
川西によれば何とか水素バッテリーだけで100km/hが出せるらしい。流石といえる
なんとも少ない夕飯の後、新たに作られた見張り台にゆく
その途中誰かがいる
僕はかまえたが…
「秋月さんですか?」
女性の声だ
「あっ、はい」
頭に西崎の惨殺死体がよぎる、こみ上げる吐き気を何とか押さえる、やっぱ夕食は食うべきじゃなかった…
「交代…だよね、お疲れ」
「どうも」
これを返すのが精一杯だった。一礼してその場を去る…

限界だ…

戻したあとフラフラになりながら見張り台に上り7×50の双眼鏡を覗く……
特に異常はない
二時間見張る…満天の星空の下春風に吹かれながら遠雷のような音が響く…音が低くなっていくという事…はドップラーより加速しながら遠ざかり中…かな
町は戦時体制の灯火菅制が引かれたように漆黒の闇が支配している
光は死につながる
月光のみが沈黙の町を照らしていた…春風は頬を撫で今日は終わる…


しかしあそこに立っていたあの女性は何故僕の名前を知っていて、何故あの場所に立っていたのか
ただそれだけが気がかりだった
そう、最初は…それだけが

見張りを館山という男に譲り施設に戻る
「……れませんか?」
女の声!がさっきとは少し違う
「ごめん」
これは水前寺!
とわかるのは俺はヘビーラジオリスナーだから音にはめっぽう強いからだ
「どうして!?」
少し涙声混じりの女の声、なるほどこれは告白って奴ですかねw
好奇心が先立って物陰から見ていた
僕から見れば理想なのに…何故水前寺は…いや水前寺だから断ったのだ
飢えているのは必ずしも男だけではないということだ
やはり水前寺は偉い

僕は静かにその場を去った

広場に集まったときあの声の主にであった
「あ…あの秋月さんですよね?昨日はお疲れさまでした」
驚く僕、女性から声をかけられるなんて…母を除けば初だ
「ど…どうも」
実にかわいい、いや綺麗の方が適当か…僕の心はいつもとは何か違う…何かを感じていた
後ろから水前寺がつついてきた
「なんだよ?彼女?」
んなわけないだろ。
僕はその女性対して思ったことを水前寺に話した
「…そりゃ思い込みすぎだ、がお前がそう思うならやってみれば?」
このときほど水前寺に感謝したことはない
あの言葉は本物なわけだ

今日は人数が増えてきたため非番、だから農作業を手伝いに行った
少し早い気がするが苗作り開始である
朝の女はいた
年は18ぐらいだろうか、ロングヘアの美しい女だ
「先ほどはすみません、なんかあれしか言えなくて」
「いえいえ、そんな…」

この日を境に僕らは親密さを深めていった
水前寺が帰ってきた、来るべき日の準備品を持って
人生初の大一番のために

五月夜その日はやってきた
電信室には岩谷がいる、今日俺は見張りの担当だ
見張り台に行く時間
見張り台の交代を知らせ交代する
これから先、二時間一人…
「こんばんわ、秋君?上にいるんでしょ?」
来た
返事をする、彼女は梯子を上り来た
「こんばんわ」
一番の笑顔をしてみる
向こうも返してくれた
五月になり風は春風から湿り気を多く含む夏風に変わりつつあった
…異常今はなし
一度双眼鏡が目をはなし彼女を見る
「ちょっと暑いね」
彼女はいう、確かにアツイ、今一番アツイ
「…キスとかしよっか」
僕は驚き電キー触ってしまった
彼女はそういいながら行動にでた
良かった
水前寺からもらった奴唇に塗っといて…
僕は倒れた
いや倒された
彼女は僕を見て笑う
「おバカさん」
「そりゃあんたのことだ」
猛烈な蹴りが彼女の頭を襲う!水前寺だ
彼女は瞳孔を全開にしていた。頭を抱えながら言う
「何故だ!」
「何故って何?」
水前寺は2撃目の蹴りを見舞う、平行感覚を失った彼女の腹にクリーンヒット
「がっ」
彼女は倒れる
「パラヒィンって最高」
僕は言う
水前寺は彼女の間接すべてはずし終わり答える
「さすが化学マニアw」
彼女は息も絶え絶えと言った感じで言う
「何故だ、何故」
僕は答える
「君に初めてあったとき君は僕の名を呼んだ、まずそこが引っかかった。二つ目、暗闇の中の会合にも関わらず君はその朝僕に迷うことなく話しかけた。そして何よりの決め手。僕に率先して話しかける女なんて絶対にあり得ない、これが最大の決め手さ」
彼女は言う
「しかしお前たちは気付いていない…もうすぐ…」
「そうだねもうすぐここから1kmのあの辺で火柱があがるね」
これを言ったのは岩谷だ
「何!」
ズガガガガガガアアアアアアン!!
猛烈な火柱が静まっていたはずの空を揺るがした
彼女はあっけに取られていた
「あ、教えとくね。岩谷は高校生にしてCIAにスカウトされるほどの暗号解読者なんだ」
水前寺はニヒスティックな笑みを浮かべながら言った。

「お疲れさま、バイバイお姉さん」
僕は彼女の心臓を突き刺した
赤い赤い噴水が僕らをどす黒く濡らした
川西に電信を送る
「トラトラトラ」
ちなみに僕が押し倒される前に押ししまったのは
ニイタカヤマノボレ
だったとさ



どうでしょ〜〜〜。勢いで書いちゃったw
なんかの作品のまねです。
最後におねいさん殺すのは、まあ、お約束みたいなw