S氏ありがとう。

いいですよ、「夏音

なんか何か書きたくなる衝動に駆られます。

(この先はzeku21の危ない妄想がものすごく詰まっています。気分を害したりして僕に当たらないようにしてください。)






























そう、それは高校2年のあのころ、今はもうない2両編成の電車の中


君は座り、窓の外を眺める。


夕焼けにも勝るあなたの美しい横顔がそこにたたずんでいた。


夏。


白のカッターを身にまとい、下校する男と女。
男は、その美しさに見とれていた。ただひたすらに。
なぜだろう?それを男には気づけなかった。
それこそが「好き」ということだと。

生まれて始めて生まれた感情に、怯え、惑い、そして打つ手なく、赤い赤すぎる夕焼けに眼を向ける。
湾曲した赤い赤い空に何を思うのだろうか?
男は、再び目を向ける、そこにはこちらに笑いかける顔。
再開の喜びをあらわにした彼女がそこにいた。
昨日までとは違う感情、違う何か。


男は何かをしゃべる、いや、しゃべらされていた。何か頭の中で湾曲してゆくこの思いを表に出さないように。


それを人は不器用だと笑うだろうか?



そうではない。きっと誰しもが越えてゆく道。



男はその時間が長かっただけなのだ。
男は不意に気づく、首をかしげている彼女に。



「どうしたの?」



どうもこうもあるか?あなたは美しい。


そして私は醜い、なぜこの私に声をかける!この醜い私に顔を向ける!男は直視できないでいる。
つりあわない、つりあわないのだ。
この私には!!
頼む、その顔をぼくに向けないでくれないか?もう君を見ていられないんだ。
その瞬間僕は僕でなくなってしまう。



男は惑う、終点が近づく、男は笑い、またの再開を約束する。
その男の精一杯。


首ひとつ、縦にふり、彼女との間にアルミニウムの塊が圧搾空気と同時に隔てられてゆく。


さよならをいえなかった。



それから数日後、男は約束が果たされなかったことを知る。



彼女の死。



そこにもそれを直視できない男がいた、泣き崩れる、人目をきにせず男は泣き続けた。

現実は違うのだと!そんなにも非情ではないと!



彼に何ができたという?そう彼は恋をした。



恋をしただけだった。





あの、なんともいえない夏の音とともに時間が過ぎ行く
二度と戻らぬその記憶のかなたに。



「さよならだけ、いいたかったよ。」



今となり、封じられたはずの気持ちがこみ上げる、ほほを伝う涙だけは、あの頃に戻っていた。
男は生きる、女の代わりになれない自分を責め続けて、これからも。心のたびを行く。